• 2020.02.17

【新型肺炎感染者、国内で400人超】そのうち350人超が船内感染

新型コロナウイルスをめぐって「新型肺炎感染者、国内で400人超す」との報道がありました。ですが、これは日本側でウイルス検査を行って感染が確認された人数で、その大半がクルーズ船内の感染者や中国・武漢からの帰国者などが占め、国内で感染が起きた人数はもっと少ない状況です。【注:本稿は2月16日時点のデータに基づくものです】

 

各メディアが把握している感染者414人(2月16日)には、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の船内で感染した乗客乗員355人が含まれています。1月下旬に香港に寄港した際に下船した男性乗客が感染し、船内感染が広まったことによるものです。

 

同船は英国船籍で、船内は日本の国内ではありません。(クルーズ船に乗船するには出国手続きが必要で、船内は日本国外となる)414人は「日本側の検査で判明した人数」であって、「日本国内で感染が起きた人数」ではないのです。

 

では、「日本国内で感染が起きた人数」は現時点で何人確認されているのか。

 

414人から355人を差し引いた残り59人の全てが「日本国内で感染が起きた人数」というわけでもありません。この中には中国・武漢等から来日した中国人のほか、チャーター便で帰国した日本人ら(13人)が含まれています。この人たちは中国で感染したとみられます。

 

世界保健機関(WHO)もクルーズ船乗客らは日本の感染者とカウントしていません。

 

2月16日現在、日本の感染者は53人、うち中国渡航歴のある人(中国での感染が疑われる人)は26人と発表しています。(この人数は中国以外では、シンガポールに次いで2番目。クルーズ船内で感染が確認された355人は「その他」の項目の「国際運送」(International conveyance)に記載されている)

 

INFACTが厚生労働省や東京都など自治体の発表資料を元に集計したところ、2月16日時点で確認できたのは、感染者は57人。(無症状11人を含む)

 

うち、中国渡航歴のある人は、(中国・武漢等から来日した中国人もしくはチャーター便で帰国した人)WHO発表どおり、26人いることが確認できました。

 

この26人は入国日などから見て感染は中国で起きたと見るのが自然です。したがって、現時点で、中国渡航歴がなく、国内で感染したと疑われるのは少なくとも31人であり、メディアが報じた「国内感染400人超す」の10分の1以下の数字となるのです。

 

新型コロナウイルスで「400人超」というクルーズ船内感染者を含め「検査で感染が確認された人数」であって、「日本国内での感染者数」とは大きく異なります。そのため、クルーズ船内感染者の人数をきちんと把握していない(海外を含む)読者に誤解を与える可能性があるのです。

 

 

しかし日々新たな感染報告が出ており、今後も国内での感染報告が増えることは予想されます。

今できる各自での対策は引き続き行っていく必要があります。

 

ニュース掲載記事:Yahoo! JAPANニュース