ALCとは?




ALCとは?

数ある外壁材の中でも近年注目を集めているのがALCになります。
ALCは高温高圧蒸気養生(Autoclaved)・軽量気泡(Light weight aerated)・コンクリート(Concrete)の頭文字です。ALCの主成分は、珪石、セメント、生石灰、石膏、アルミニウム粉末などです。
軽量気泡コンクリート」の略で、特殊なコンクリートの一種です。通常のコンクリートの約1/4という軽量さが最大の特色ですが、人体に無害でリサイクルも可能という環境に配慮された現代的な建築資材です。強度も高く、耐火性・防火性・断熱性に優れています。壁材として使用するALCは、金属網(ラス網)によって補強した“ALCパネル”です。工場でパネルに加工したものを建材として使用します。工場で生産されたパネルを取り付けるので、塗り壁に比べ施工にかかる時間が非常に少ないのが特徴です。


ALCは気泡が多い為、欠点は防水性能があまり高くない点です。そのため塗装の剥がれを起こすと劣化を早める恐れがあります。またサイディングと同じく継ぎ目の部分があるため、コーキング材による補修は必須となります。

高温高圧蒸気養生

高温高圧蒸気養生(autoclave curing)とは、高い圧力と高温の水蒸気を用いたコンクリートの硬化や強度発現を促進させるためにおこなう養生の事です。オートクレーブと呼ばれる高温高圧の蒸気釜の中で行うため、オートクレーブ養生とも呼ばれます。高温高圧蒸気養生(オートクレーブ養生)によってトバモライト結晶が生成され、通常28日間で得られる強度を、1.5日程度で得ることができます。高温高圧蒸気養生(オートクレーブ養生)は、ALCパネルを硬化させるためなどに利用します。なお大気圧で行う養生は、常圧蒸気養生(atmospheric pressure curing)と呼ばれます。

トバモライト結晶

オートクレーブ養生によって、極めて緻密な結晶構造を生成することができます。これがトバモライト結晶です。トバモライトはこれ以上化学反応を起こしにくい、非常に安定した物質です。この生成は、自然界においては非常に特殊な条件下で、何万年もの長い年月をかけなければなりません。火山地帯の地下で、石灰岩を含む地層にマグマが接触した際、石灰岩のカルシウムとマグマの珪素が高温で化学反応を起こします。このとき生成される特殊な変成岩が地熱で高温・高圧になった地下水と反応してトバモライトを生成するのです。

【ALCのメリット】

軽量な外壁

ALC、は気泡のあるコンクリートなので軽量というメリットがあります。軽量であることで、住宅への負担や施工の負担などが軽くなり工期短縮も可能です。

断熱性が高い

ALCは壁材の中では断熱性の高い建材です。グラスウール(ガラス繊維でできた、綿状の素材である断熱材)などの断熱材と併用することで住宅の断熱性を高めることができます。しかし、住宅の断熱性能で重要なのは“断熱材”であることを覚えておきましょう。

耐火性が高い

材料がコンクリートなので、ALCは耐火性の高い特徴があります。国土交通省による耐火構造の認定を取得しており、非常に耐火性の高い壁材です。

遮音性が高い

ALCは発泡性の素材であることから遮音性の高い壁材です。防音壁としても使用する材料であることからも遮音性の高さを表しています。

調湿に優れる

多孔(たこう)構造であることから、ALCは湿度を調整する機能があります。湿度を透過する機能は、ALCのデメリットにもなりますが、適切な“外装仕上げ”をおこなうことで室内の湿度を調節することも可能です。

耐震に優れる

外壁パネルは、通常ロッキング構法で取り付けられます。ロッキング構法は、地震時に躯体(鉄骨)が変形してもパネルが回転(ロッキング)することで変形による損傷を小さくすることが可能な構法です。過去の大地震においても、躯体が限界を超えて変形したり、破壊された場合を除いて、ロッキング構法で取付けられた外壁パネルは、ほとんど損傷を受けていません。

【ALCのデメリット】

耐久力・防水性は仕上げ材(塗料)に依存する

ALCは特徴として気泡が多くある建材になります。その為、比重(重さ)は水よりも軽いので水に浮きますが長時間水分が表面にかかると水が内部の気泡に浸透し耐水性能が低下します。防水性を高めるために表面に仕上げ材を塗布するので、防水性に関しては仕上げ材の機能に依存します。防水性や耐久性の低い塗料を使用するとことで耐久性が著しく低下してしまいます。

吸水性が高い

ALCは吸水性が高く“水に弱い”という特徴があります。寒冷地などでは吸水した水が凍ることで“剥離(はくり)”してしまいます。ALCは表面の防水処理が寿命や耐久性に影響することを覚えておきましょう。

定期的なメンテナンスが必要

ALCは住宅の状況や環境によっては性能を十分に発揮できないこともあることがALCのデメリットです。一般的なサイディング同様に、ALCは定期的なメンテナンスが重要になります。再塗装に加えて、クラック修復などの下処理をおこなう必要のある壁材です。高耐久&防水性の良いシーリング材を使用することで長期間の防水性能が保てます。ALC外壁は、外壁修繕のタイミングを見極め、住宅に最適な方法でリフォームを計画するようにしましょう。

【まとめ】

ALCはコンクリートの持つ断熱性・耐火性・遮音性に加えて、軽量・調湿などコンクリートには無いメリットがあります。メリットの多い壁材であるALC外壁ですが、デメリットもしっかりと知ることが大切です。

 

他にも皆さんこんな記事を読んでいます⇓⇓⇓