遮熱塗料と断熱塗料の違いとは? ~特徴と効果について~
塗料には様々な特徴のあるものが増えてきていますが、近年とくに注目されているのが『遮熱塗料』や『断熱塗料』といった、熱に強い塗料になります。とくに『遮熱塗料』は環境にも配慮されているので、地区町村によっては控除の対象や助成金やを出している所もあります。
この2つは名前が似ていて、夏場の太陽熱から屋内の室温上昇を抑え、冷房費の節減になり、省エネルギー、CO2削減につながるという点では同じですが、熱を通すのか通さないかの大きな違いがあります。
では実際にどのような特徴や効果があるのか、塗料の種類や価格を分かりやすく解説していきます。
遮熱塗料と断熱塗料のメカニズム
遮熱塗料:太陽光の赤外線を高効率で反射して、屋内の温度上昇を抑えることができる塗料
断熱塗料:主にセラミックを原料とした塗装で、太陽光を建物内部に伝わりにくくすることによって室温の上昇を抑えることができる塗料
※この機能により、夏場の部屋の温度が2~3℃下がり、15%の節電効果があると言われています。但し、使われている断熱材や太陽光の当たり方によっては下がる温度は異なります。
遮熱塗料と断熱塗料の特徴
遮熱塗料 | 断熱塗料 | |
性能 | 熱を反射するので、冬場は室温を保温しにくい。 | 熱の移動が長いため、室内の熱が逃げにくくなり、保温効果がある。 |
耐用年数 | 10~15年 | 15~20年 |
価格 | 2,600~3,000円/㎡ | 3, 500~3,800円/㎡ |
メリット | ・室温上昇を抑制し、光熱費を削減できる
・建物自体の熱劣化を抑制する ・シリコン塗料と同じくらいの安価で施工できる |
・遮熱塗料より耐久性、機能性に優れる
・一年中快適な室温を保てる(夏涼しく冬暖かい) ・省エネ効果により、光熱費を削減できる |
デメリット | ・冬場の遮熱効果は建物の温度を低くしてしまう事がある | ・耐久性・機能性に優れる分、遮熱塗料より価格が高い |
この2つの大きな違いは、冬場など寒い時期に室内で使用した暖房の保温効果があるかないかです。遮熱塗料は、熱を反射させるので、室内の熱を保温する効果はありません。断熱塗料は、熱の移動が長いため、室内の熱が逃げにくくなるため保温効果があります。
遮熱塗料と断熱塗料の効果が発揮しやすい家とは?
■金属屋根の家(トタン・ガルバニウム)
金属屋根の家は、屋根材の熱伝導率が高いので、表面温度が伝わりやすく、夏場は室内が高温になります。そのため、ほかの屋根材よりも遮熱効果が発揮しやすいといえます。
■屋根直下にリビングや寝室がある家
家族が長時間過ごすことの多いリビングルームや寝室が最上階にある家では、屋根や外壁に遮熱塗料を塗る事で電力削減効果が期待できます。
■天井が吹き抜けている家
部屋全体の容積が多く、熱い空気がこもりやすいため、効果が期待できます。
■断熱性能が低い家
小屋裏(屋根裏)空間が狭い家、屋根の勾配が緩い家、天井断熱材がない家、小屋裏換気がない家、屋根の軒の出が少ない家、勾配天井の家などがこれに該当します。
加えて、屋根や外壁の色が黒や黒に近い色の場合は熱を吸収しやすいので、室内の温度も高くなりがちですが、遮熱塗料を塗ることで表面温度の上昇を抑えることができます。
代表的な遮熱塗料と断熱塗料
【遮熱塗料】
●日本ペイント:サーモアイSi、サーモアイF
●関西ペイント:アレスクール Si、アレスクールF
●エスケー化研:クールタイトSi、クールタイトF
●日本中央研究所株式会社:アドグリーンコート
●アステック:EC-5000PCM(IR)、無機ハイブリッドコートJY-IR、シャネツグロスJY ※旧タイプ
【断熱塗料】
●株式会社日進産業:ガイナ
ガイナは特殊なセラミックビーズが入った塗料で、赤外線を反射し日差しの影響をを防ぐことで塗装面に熱の影響を受けにくくします。これにより室温が下がります。
♦ ♦ ♦ まとめ ♦ ♦ ♦■夏場の室温を下げ、電気代も節電できる ■遮熱塗料は、熱を反射させるので、室内の熱を保温する効果はない ■断熱塗料は、熱の移動が長いため、室内の熱が逃げにくくなるため寒い時期は保温効果もある ■遮熱塗料は省エネ控除や助成金の対象になる |