防水工事の種類と工法とその特徴

防水工事の種類と工法とその特徴

一言で防水工事といっても色々な種類や工法があるので「どの工事が自分の家に適しているのか?」「本当にこの見積り内容で大丈夫なのか?」と心配になります。

防水の種類によって耐用年数や金額、おすすめの仕様箇所等が大きく異なりますので、各防水の種類や特徴を解説していきます。

種類 工法 おすすめ施工箇所 耐久年数 価格 厚さ
ウレタン防水 ①通気緩衝工法(X-1)
②密着工法(X-2)
全て ①13~15年程度
②10~15年程度
①5,500~6,500円
②4,500~5,500円
3.0mm~
塩ビシート防水 ①機械的固定工法
②密着工法
屋上 ①15~20年程度
②10~15年程度
①5,500~7,500円
②4,000~5,000円
1.5~2.5mm
ゴムシート防水 屋上 10~15年程度 4,000~5,000円 1.2~2.0mm
FRP防水 ベランダ 10~15年程度 5,000~7,000円 3.0mm~
改質アスファルトシート防水 ①熱工法
②トーチ工法
③常温工法
屋上 15~20年程度 4,500~7,000円 5.0mm~10mm

※5~10年ごとにメンテナンスが必要です。




【ウレタン防水】

■特徴

ウレタン防水は塗膜防水(メンブレン防水)と呼ばれ、液状から防水施工部分に塗布や吹き付けを行い、防水膜を施工します。ウレタンは不定形材料のため、施工場所の形状が複雑で狭い場所にも塗布することができます。また別素材の旧防水層があってもその上から施工できます。材料を塗るだけなので、工期も短く済み、コストも全面改修に比べ半分以下で済みます。また撤去する廃材も出ないので、環境保全・産廃処理の観点からも優れています。

《通気緩衝工法》

■メリット

・補修が容易で、下地形状が複雑な場所にも対応可能
・継ぎ目のない均一な仕上がりになる
・通気緩衝シートが、ふくれを防止し、下地の挙動を緩衝または、優れた耐久性を発揮
・防水層が軽量で建築物に負担をかけない
・環境にも優しい

■デメリット

・コストが少し高い
・乾燥期間が各工程で必要なため工期が掛かる
・定期的(5~10年毎に)にトップコートをする必要がある

《密着工法》

■メリット

・コストが安い
・防水層が軽量で建築物に負担をかけない
・複雑な部位への使用が可能

■デメリット

・塗膜の均一性が難しい
・下地調整の精度が要求される
・下地に影響されるため、下地の亀裂が広がると破断することもある
・防水層の乾燥が遅いため、施工は天候に左右される
・定期的(5~8年)にトップコートをする必要がある

 

【塩ビシート防水】

■特徴

塩ビシート防水は、塩化ビニール樹脂で作られた防水シートを接着剤などで下地に貼り付ける工法です。シートを接着剤で貼るだけなので施工性に優れており、複雑な形状や狭い場所でシート同士のジョイントがたくさん発生した場合でも、シート同士を熱風で溶かして一体化できます。紫外線・熱・オゾンに対し優れた耐久性を持ち、耐候性に優れています。単層防水のため工期も短く低コストで済み、また意匠性に優れ、色や模様がプリントされたシートもあります。工法は機械固定工法と密着工法があります。

《機械的固定工法》

■メリット

・既存防水層がどんな防水層だったとしても上から被せることができる
・被せて施工する場合、撤去作業・残材処理・新規の下地作りや雨養生などのコストを低減できる
・雨などの気候に影響されず施工が出来るので工期短縮が可能

■デメリット

・施工している間は振動と騒音が発生する
・複雑な形状には向いていない

《密着工法》

■メリット

・施工しやすく、軽量
・燃えにくい性質

■デメリット

・複雑な形状には向いていない

 

【ゴムシート防水】

■特徴

ゴムシート防水は、シート状に成形した合成ゴム系の防水シートを接着剤などで下地に貼り付ける防水工法です。シートそのものは安定した分子構造を持ち、ゴムのため伸縮性が高く、耐候性にも優れますが、シート同士の接着は接着剤と粘着テープによるので、溶融一体化しないという特徴があります。また厚みが薄いのでやや損傷しやすいのも特徴です。しかしコスト面で比較的安価であり、手軽にでき短工期で済む工法なので、目立ちにくいところの工事や応急処置としては、最適な防水工事と言えます。また軽量であるのも大きな特徴で、上に保護層を塗れば軽歩行も可能です。

■メリット

・コストが安価
・伸縮性も高く耐候性にも優れる
・工事期間が短い

■デメリット

・複雑な形状には向いていない
・塩ビシートより耐候性が劣る
・施工者によって精度が異なる

 

【FRP防水】

■特徴

FRP防水は、強度が高く耐久性に優れたFRP(ガラス繊維強化プラスチック)を応用し、FRPの被覆防水層を形成する工法です。その防水層は軽量かつ強靭で、耐水・耐食・耐候性に優れていることが特長です。軽量強靭であり、保護層が不要で、直接露出防水として施工できます。重歩行や車両走行にも耐えられます。また硬化するのが速いため、短工期で済みます。出来上がった防水層は継ぎ目のない均一な仕上がりになるので外観的にも奇麗な仕上がりになります。ただ施工中は臭いが周囲に広がることがあるので、対策が必要になります。施工箇所はバルコニーに多く使われています。

■メリット

・強度が大きく軽量、耐水性、耐熱性、耐久性に優れる
・均一な厚みで施工可能
・すぐに乾くので工程が短い
・トップコートのバリエーションが豊富

■デメリット

・コストが高い
・臭いが出る
・湿気や化学反応で硬化するため外気温に左右され易い

 

【改質アスファルトシート防水】

■特徴

合成繊維不織布にアスファルトを含浸・コーティングしたシート状のルーフィングを貼り重ねて形成する工法です。熱工法・トーチ工法・常温工法(冷工法)などに分類されます。
ルーフィングシートを積層することにより、水密性に優れた防水層が構成されるので、露出仕上げや押えコンクリートで仕上げたり屋上緑化を施したりと多彩な仕上げが可能になります。

《熱工法》

■メリット

・隙間ができず、防水層としての信頼性が高い
・短時間で硬化するため工期が短くて済む
・アスファルト防水工法の中では、トーチ工法や冷工法と比較すると最も歴史があり、信頼性が高い
・寿命年数が17年以上と長期である

■デメリット

・アスファルト溶解時に臭いや煙が発生する
・溶解釜の管理が難しい
・密集した場所には不向きである
・作業員の火傷などの危険性がある

《トーチ工法》

■メリット

・既存のアスファルト防水の上にかぶせることができる
・溶かして接着するので、防水性は冷工法より高い

■デメリット

・アスファルトが溶けたときの匂いがする
・火を使うため室外機などがあると、工事できなかったり、できても、焦げたり溶けたり、燃え移ったりと危険
・定期的(5~8年毎に)にトップコートを塗布する必要がある

《常温工法/冷工法》

■メリット

・施工性が早く工期が短くなる
・火を使わずに、剥離紙をはがして接着するので、アスファルトが溶けたときの匂いがしない
・火を使用しないため室外機などが設置されていても、焦げたり溶けたりしない
※ドレン廻りなど一部では火を使って溶かして接着する。

■デメリット

・単価が高い
・剥離紙をはがして接着するので、溶かした時よりも、密着度が低い
・定期的(5~8年毎に)にトップコートをする必要がある




【最後に】

各防水の種類や特徴を理解しながら、ご自身の家にあった防水工事を進めて行きましょう。

 

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