大規模修繕工事の基礎知識 ~マンション・アパート~

大規模修繕工事の基礎知識 ~マンション・アパート~

マンションの大規模修繕工事をご存知ですか?マンションを購入し住んでいても“その時”がこないと知らない方も多いのではないでしょうか。
新築のマンションであっても、中古のマンションであっても、築年数が経てば必ず大規模修繕工事の時期がくるものです。これは皆さんの大切な住まいをより長く快適に過ごすための工事になります。そのきちんとしたメンテナンスを行うために、住人は修繕積立金をしているのです。

そこで大規模修繕を行う時期はいつなのか、どんな工事をするのか、どんな業者に頼むのか、そもそも誰が決めてなぜ行うのか、などあまり知られていない情報を紹介します。

大規模修繕工事をなぜ行うのか?行わないとどうなるのか?

最近のマンションは鉄筋コンクリート(RC)造や鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造などで造られており、大きくて頑丈な建物だからそんな簡単に劣化しないだろうと考えている人も多いと思います。
実際にコンクリートは100年持つと言われています。確かにいきなり壊れたり崩れたりなんてことはありません。しかしそれはここで説明する『大規模修繕工事』を計画的に行うことで建物が維持されているのです。

マンションをはじめとする多くの建物にとっての天敵は『紫外線』になります。特に屋上や外壁等は日中強烈な紫外線を浴びていることになります。また風雨なども劣化に関係してきます。しかしこれらは自然現象なので誰も止めることができません。これにより防水層や外壁の塗料、シーリングなどが徐々に劣化し、その劣化した箇所から雨水が浸入して最終的には躯体自体にも影響を及ぼしていくのです。

見た目の美観はもちろんですが、建物自体に影響を及ばない為にも計画的な『大規模修繕工事』がとても重要になるのです。




大規模修繕工事を行う時期はいつ?誰が決めるの?

多くのマンションでは長期修繕計画によって大規模修繕工事の実施時期と工事の内容、費用を予測してあらかじめ予定が組まれていることが多いです。その時期に合わせて理事長を含む理事会メンバーが話し合い、工事の範囲や内容などを考え決めていきます。マンションによっては大規模修繕委員会なども作られています。

長期修繕計画とは

マンションの性能を維持し老朽化を防ぐために、予め大規模修繕の実施時期や工事内容、掛かる費用などを管理組合が作成するマンションの長期的な修繕計画のことです。

一般的に10年から30年程度の期間を対象として、マンションの各箇所に関する鉄部等塗装工事・外壁塗装工事・屋上防水工事・給水管工事・排水管工事などをどの程度の費用で実施するかを予定するものです。

つまり、長期修繕計画は必要な修繕工事を実施するうえでとても重要なものになります。

大規模修繕工事の時期

肝心な大規模修繕工事を行う時期ですが、新築から約10年を過ぎたくらいになります。この頃から劣化が目に見えて現れてきます。ちなみに国土交通省も、マンションの1回目の大規模修繕の目安を築12年目として推奨しています。

しかし、長期修繕計画によってその時期がきたからといって必ずしも修繕工事を行わなくてはならないわけではありません。予定の時期がきたら、まず専門業者に建物の診断をしてもらい、工事時期、工事内容をしっかりと判断することが重要になります。

 

どんな業者に頼めばいいの?

見てもらう業者ですが、一社に見てもらい頼むのではなく、必ず数社によって相見積もりを出してもらうことが重要です。

業者によっては瑕疵保険を対応しているところもあります。工事を実施した部分に瑕疵があった場合に、請負人である修繕工事業者(被保険者)が、発注者に対して瑕疵担保責任を負担することによって生じた損害について保険金をお支払いするシステムです。
また自社保証やメーカー保証の場合、工事業者が倒産したら、いくら10年、15年保証が付いたとしても無効になってしまいます。しかしこの瑕疵保険が対応していれば、そんな問題も解決されます。
この保険は限られた業者しか対応していないので、業者を選ぶ際の重要なポイントの一つとなります。

そしてマンションの総会や臨時総会を開き、理事会メンバー以外の住んでいる住人にも分かるようなしっかりとした説明会を業者も含め行い、どの業者に頼むのか決める必要があります。工事の質を確保しながら、 価格の低減をはかることも重要です。

 

大規模修繕工事の費用はどこから出るの?

多くのマンションでは住宅ローン返済とは別に、管理費や修繕積立金などの住宅ローン返済以外の諸経費が掛かっていることをご存知ですか?この諸経費はこの先も快適に過ごす為の必要な費用になります。

管理費と修繕積立金の違い

管理費:日常の掃除やエレベーター・防犯カメラ等の設備点検から、なにか困った時に助けてくれることなど、マンションに住む方が快適に過ごせるように管理人が安心を生み出してくれているのが管理費になります。

修繕積立金:建物の診断や修繕工事を行うために充てられる費用のことです。 こちらは将来的な大規模工事に備えて積み立てていこうというものになります。 金額は長期修繕計画に基づいて定められ、そのマンションに住んでいる戸数によっても変動することもあります。

このように管理費は日常管理面に使用され、修繕積立金は将来的に修理が必要になる箇所の修繕費用として蓄えられています。よって、今回のような大規模修繕工事の場合はマンションに住む方が積み立てている『修繕積立金』から支出されるのです。

 

大規模修繕でどんな工事をするの?

大規模修繕工事では、屋上やバルコニーの防水工事や外壁の塗装、タイルの張替え、外壁や窓枠のシーリングなどあらゆる所を行います。しかし、その時の劣化状態によっては次の修繕工事まで持ち越しになる場合もあります。ここで掛かる工事費用の負担は貴重な修繕積立金ですから、安易な出費はさけなければなりません。そこで工事の範囲を見極めて行う必要があります。

工事期間はどれくらい?

マンションの規模や工事の内容にもよりますがだいたい2ヶ月以上はかかります。場合によっては5ヶ月~8ヶ月と長期間行われることもあります。

工事中は洗濯物を干しても大丈夫?

世帯数の多いマンションでは必ず工事予定表を貼り住人に周知します。また何号室はいつ洗濯NGとか細かい情報まで教えてくれる業者がほとんどです。このようにまったく干せなくなるわけではありません。分からないときは業者に問い合わせるといいでしょう。

音はどれくらいうるさい?

行っている工事内容にもよりますが、正直工事中の音は静かではありません。どうしても機会を動かしている音やたたいてる音などは響き渡ります。赤ちゃんや在宅ワークなどをしている人には少し辛い時間かもしれません。

 

まとめ

説明してきたように、マンションにより長く快適に住むためには大規模修繕工事は必要不可欠なものといえます。計画的に修繕工事を行えば少なくとも80年は住まいとして十分に機能するとも言われています。80年以上持つのですからマンションの所有者も途中で替わる可能性が高いです。 その時に、老朽化や漏水の多発しているマンションでは借り手も買い手もつきません。長期修繕計画によって大規模修繕を行うことで高い資産性を維持しておくことが大切です。


関連記事


ALC塗装評判業者ランキング